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本日、国連大学本部にて行われた「The G7- United Nations Partnership to Meet Global Challenges」というイベントに参加してきたのですが、G7伊勢志摩サミットをおよそ1週間後に控えている今、今回のサミットはどの国がどんな議題が注目されているか考えてみましょう。

まず、今回のG7サミットは持続可能な開発目標(SDGs)が昨年2015年、193ヶ国に採択されてから初めてのサミットです。グローバル・パートナーシップ、つまり国家政府のみならず、プライベートセクター(企業)と市民社会も重要な役割を持っていることが認められたことから、今回のサミットは特別な意味を持つのではないでしょうか。

今回のサミットでは以下の主なテーマについて議論される予定です。

  1. 世界経済・貿易:新興国経済・原油価格の下落
  2. 政治・外交問題:自由、民主主義、法の支配、人権に基づいた価値観からみるウクライナ・北朝鮮・中東の情勢、そしてテロ対策
  3. 気候変動・エネルギー問題:変化の著しい国際エネルギー情勢・エネルギー安全保障
  4. 開発:アフリカの開発
  5. 質の高いインフラ投資:短期的かつ量的な視点のみならず、中長期的かつ質的な観点を取り入れた新興国におけるインフラ投資
  6. 保険:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage)(世界中の全ての人が生涯を通じて必要なときに基礎的な保健サービスを負担可能な費用で受けられること。)
  7. 女性:女性のエンパワーメント、自然科学・技術分野における女性の活躍

それぞれの国における優先順位がどうなっているか見てみましょう。

日本:G7の唯一のアジア国として、日本はこの機会を活かしてアジア太平洋地域の様々な問題を議題に持ち出し、G7諸国のご意見とご協力を求めるでしょう。とりわけ注目されているのは、南シナ海における海域の領有権の争いと北朝鮮の核問題と安全保障問題でしょう。それから、少子高齢化が進んでいる日本を経済低迷から救う「女性の活躍」と「新興国における質のいいインフラ投資」も注目されています。

カナダ:5年目を迎える中東の紛争によって深刻化しているシリア難民の流出問題において、カナダのトルドー首相が2016年までに25000人の難民受け入れを表明し、しかもカナダに定住する予定のシリア難民を自ら出迎えました。さすが多様性と多文化のカナダだけあって、シリアの難民問題はヨーロッパだけの問題ではないと言わんばかりに、難民受け入れについて積極的な姿勢を見せています。そして、気候変動、質のいいインフラ投資と女性の活躍の大切さも言及しています。

欧州連合(EU):ヨーロッパは昨年2015年に直面した一番の課題はシリア難民の流入だったでしょう。それもそのはず、ヨーロッパは2015年には130万人の難民を受け入れ、シリア紛争の救援金として65億米ドル以上出したといわれています。そして、シリアの隣国であるトルコ、レバノンとヨルダンでは460万人の庇護申請者を受け入れたという。シリアの難民問題はヨーロッパだけの問題ではなく、世界各国、とりわけG7諸国の責任でもあると主張しています。そして、難民問題をテロのせいにするのではなく、テロ対策を強める一方、教育を通して中東の人たちに「暴力やテロ」ではない道を導くことを提案しています。

ドイツ:欧州連合と同じく、難民問題の深刻さとG7諸国の協力について強く主張しています。2011年の紛争が始まって以来、ドイツはすでに約6億5000ユーロを拠出しており、更におよそ30万人のシリア難民を受け入れていると言われています。ヨーロッパは共通な価値観と責任感を持つ国によって形成されているからこそ、より一層団結してシリア難民問題を共に解決すべきだといいます。

アメリカ:政治・外交問題と世界経済・貿易が主な課題だと見られています。政治・外交問題として、ウクライナ侵攻をきっかけにG8から除外されたロシアとの対立、北朝鮮の核問題、そして中東における紛争などが大きな課題になっています。そして世界の経済成長鈍化もアメリカの懸念点だと思われています。

イタリア:2014年に21万人以上の難民がイタリアを目指して北アフリカから地中海をわたったが、少なくとも3500人が渡海途中で死亡したと報道されています。現在のシリア難民問題に合わせて難民問題が大きな課題となっています。近年深刻化しているテロ問題に対して、サイバー技術・セキュリティへの投資と教育文化への投資という二本柱の戦略が必要だと、マッテオ・レンツィ首相が2016年のスピーチで主張しています。

フランス:2015年のシャルリー・エブド襲撃事件、2016年のパリ同時多発テロ事件、そして同年のブリュッセル爆発事件では、実は実行犯はシリア・リビア・アフガニスタンにあるテロ組織のテロリストではなく、ホームグロウン・テロリスト(自国産)でした。自国の団結を強める一方、テロ組織ISへの襲撃を主張しています。

イギリス:アフリカにおける健康課題や安全保障問題などに取り組んできたイギリスは、中東におけるテロと難民問題、それからエボラやジカウイルスなどの病気に注目していると見られています。

以上、G7諸国が今回のサミットに期待している議題です。

しかし、世界の様々な問題を解決するためにはG7諸国だけが取り組んでいるでは充分なのか、という疑問が残っています。例えば、持続可能な開発目標の最初の目標である貧困・飢餓問題は今回のサミットの議題には上がっていません。例えば、バングラデシュをはじめとする貧困国の多くは、自然災害によって更に貧困の悪循環に閉じ込められています。そして、自然災害は近年の気候変動によって増加し、多様化しているせいで災害による被害が大きくなっています。そういう意味で、貧困国は気候変動の一番の被害者にもかかわらず、G7サミットではさほど大きな役割を果たしていない気がします。

今回のG7サミットでは、G7諸国の指導者だけでなく、以下の大臣会合を通してG7サミット議題へのコミットメントを強めようとしていると見られています。首相や大統領だけでなく、各国の大臣が顔合わせして議論することによって、課題認識も強まり、より良い結果が出せるのではないかと見ています。

2016年4月10日~11日:外務大臣会合(広島県広島市)

2016年4月23日~24日:農業大臣会合(新潟県新潟市)

2016年4月29日~30日:情報通信大臣会合(香川県高松市)

2016年5月1日~2日:エネルギー大臣会合(福岡県北九州市)

2016年5月14日~15日:教育大臣会合(岡山県倉敷市)

2016年5月15日~16日:環境大臣会合(富山県富山市)

2016年5月15日~17日:科学技術大臣会合(茨城県つくば市)

2016年5月20日~21日:財務大臣・中央銀行総裁会議(宮城県仙台市)

2016年5月26日~27日:首脳会議(三重県伊勢志摩)

2016年9月11日~12日:保健大臣会合(兵庫県神戸市)

2016年9月24日~25日:交通大臣会合(長野県軽井沢町)

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