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gift_economy(1)(この投稿の内容のほとんどは以下のチャールズ・アイゼンシュタイン氏のドキュメンタリーから翻訳したものになります。)

現代の世界は「なぜ」に満ちあふれている。なぜ私達は生物多様性の危機に直面しているか。石油や化石は大気汚染に繋がることを知っているのに、私達はなぜ未だに石油や化石燃料を使っていて、それにまつわって紛争をしているか。この様々な「なぜ」を解いていくと、「お金」に辿り着くことが多い。なぜ現代の社会ではお金に左右されているのだろうか。

経済とはもともとお金とはかけ離れた存在で、「親族関係」や「贈与慣習」から成り立っている。お金というより、家畜、農産物、アクセサリーなどの「もの」で物々交換をしていた文化が多かったのではないだろうか。その時代では、食糧をたくさん蓄えていたら、ネズミがはびこる。そして、ノマド(遊牧民)にとって必要以上のものを持つことは荷物になる。なので、物が余ったら周りの人に配るのが他人のためというより、自分のためだった。

しかし、金銭資本主義が導入され、良くも悪くも「お金」が主な交換手段になった。

お金とは何か

お金は協定・取り決めによって成立している。お金自体には価値がない。お金を使っている人がその価値について合意しているから、価値が存在している。しかし、お金の恣意的な価値は大きな力を持っている。小切手に数字とサインを書くだけで、もしくはインターネットのワンクリックだけで、大量のものを手に入れることができる時代になってきた。お金で物事を交換したり、買ったり、数えたり、記録したり、そして価値をつけたりできるようになってきた。そして、同じ小切手やインターネットのワンクリックで、何千の人々の人生を壊すこともできる。

お金は「不足」から成り立っている。銀行がお金を作って誰かに貸した時、そこには利子がついている。つまり、お金はどこかで必ず不足していることになっている。誰かが常に借金している。そして、利子は必ずついているので、借金は大きくなるだけ。どこかから手に入ったお金でそれを返済することで、その借金を違う人に回したことになる。そしてそれで競争社会になる。

そして、お金の仕組みにはもうひとつ欠かせない要素がある。それは「成長」です。銀行は常に成長しないといけないので、お金を貸すなら、お金を貸した分以上生み出してくれるようなところに貸すでしょう。

何も貿易・サービス、つまり「金銭的な価値」を生み出さないことにはお金を出さないでしょう。経済は常に成長しないといけない。経済成長はつまり、なにかと引き換えに「金銭的価値」を生み出さなければならない。その何かというのは、例えば「自然」みたいな誰も所有していないものに手を付けて、金銭的価値を持つ貿易・サービスに引き換えること。

もともとは贈与慣習だった関係を壊して、金銭関係を築くことが経済成長。もともと自分でできたこと、もしくは誰かにやってもらったことに、金銭的な価値をつけること。例えば、食事(農業)、子育てなどはもともと自分(もしくは村単位で)できていたが、今は有料サービスになっている。

 何もかも「商品」にすることで、私達は「自然」や「地域社会」からかけ離れてしまった。いつの間にか、自然を商品化しようとするようになった。そうすると、私達は孤立し孤独になってしまう。孤独になった私たちはその孤独をお金で短期的な快楽を求め(買い物や貯金)、結果的にその悪循環に巻き込まれてしまう。

しかし、私達はもう自然の大半を商品化してしまって、限界に近づいてきた。

ギフト経済

私達は「命」にまつわるものひとつも自分の手で獲得していない。この地球、空気、水、命、食糧になるような植物は自然に与えられたギフト。この世のほとんどのものはギフトだという認識を持っていれば、自然に「感謝の気持ち」を持つでしょう。ギフト経済と金銭経済は根本的に異なる。金銭経済では、私達は常に競争していて、奪い合っている。ギフト経済では、私達は与え合っている。

奪い合ったら足りないけど、与え合えば余る。

なにもかもを「商品化」、「収益化」しようとすると、社会は「自然」や「人間」から離れてしまい、崩壊しかねない。人間同士はお互いを必要としなければならない。お金に頼ってはいけない。でも、今の世界では人間同士を必要とせず、むしろ人間同士で競争し、自然、社会、人間を収益化しようとしている。

私達が考えなければならないのは、「この世のために私になにができるか」、「なにをして恩返しできるのか」ということです。つまり、いかに自然に恩返し、与えられたこの命に恩返し。

しかし、このギフト経済の概念をいかに現在の社会に取り組むべきか。チャールズ・アイゼンシュタイン氏が以下の提案をしている。

  • マイナス金利(高利貸しを防ぐ。高い利息を設定することを条件として金を貸す業者)
  • コストの内面化(大気汚染にお金をとる。自然環境と引き換えに。今だと、環境汚染をして、ほかのひと、または後世の人にその代価を払ってもらっている状況)
  • 社会的便益(地球、自然、空気、伝統文化などというみんなのものを1人で独り占めするのではなく、みんなでその恩恵を受けるべき)
  • 様々なサービスをプライベートセクターが支配するのではなく、仲間同士でやる。(小規模融資)

経済成長の代価はどんどん増加する一方。私達はもはやそれに追いついていない。たった62人の大富豪が全世界の半分の富を持っている。不満を持つ人がどんどん増えている。そして、皮肉なことに、繰り返される金融危機、テロという仮想的な敵の出没、止まない戦争などによってお金持ちの人も決して満足しているとはいえない。

とても抽象的な概念を描いてきたが、これからどうやってわかりやすく、そして現実的に取り組んでいけるか、考えていきたいと思う。

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