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スクリーンショット 2016-05-08 14.54.43ベーシックインカム(最低限所得保障)とは、全ての人が生活をする上で必要な所得を無条件で得る権利があるというもので、一般的に月におよそ5万〜10万円が支給されるという制度です。

上の図は日本などといった先進国における一般的な社会構造になっています。国民が生活の必要な所得を得るための構造はこの3つの要素が含まれています。その一、若者が大学卒業後にまず仕事を探す。その二、万が一失業したとき、失業の期間に金銭的な補助をされ、または再就職するための研修を受けるなどの仕組みで支えられる。その三、社会底辺にいる人々、または定年退職後の人々が快適な生活が送れるための生活保護や年金などのセーフティネット。

日本の場合を見てみると、職探しに関しては就職活動の制度は賛否両論とはいえ、2015年の失業率は3.4%(総務省統計局のデータ:http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/)で世界的で見ても非常に低い数字になっているので、1番の職探し制度はかなりうまくやっているとはいえるだろう。

しかし、2番に関してはあまり評判がいいとはいえないだろう。日本では近年では変わりつつあると言われているが、多くの会社ではまだ終身雇用が基本的な仕組みになっているので、一旦失業すると、再就職することは一層難しくなっています。再就職支援はあるとはいえ、手続きや条件が複雑で決して簡単に再就職できるとはいえない。

そして、3番のセーフティネットに関しては最近では年金問題などが起きるくらいなので、今は問題ないとしても、将来は不安が蟠るのも仕方ない。

ベーシックインカム制度は、簡単に言うと、この3つの制度を1つにまとめて、どんな雇用状態にせよ、どんな職種にせよ、年齢、性別などを問わず、国民全員に均一の生活補助金を支給することです。ベーシックインカム制度、または似たような制度が施されている北欧とオセアニアの国々では、福祉国家とも呼ばれています。

福祉国家が目指しているのは1. 完全雇用の達成、2. リスクに対する社会保険の対応と3. セーフティネットとしての公的扶助です。

例えば、北欧のスエーデンでは失業した時、再就職のための研修を受けるだけで補助金がもらえます。失業者にとって、再就職しようと意思決定する大きなモチベーションになります。国からみると、再就職研修の補助金を出したほうが、セーフティネットでサポートするより、金銭的に安いです。

ベーシックインカムを導入することによって、いくつかの問題が解決されることが期待されています。まず、職業や収入によって分断されることなく国民全員が平等になります。労働(働く事)に価値があるというより、生きていること自体に価値があるという発想転換が起きます。例えば、現在の社会構造だと、家事や育児をする主婦は実際仕事はしているけど収入がないのであまり重要視されていない、または障がい者は現在の社会では不利です。ベーシックインカムを導入すれば、とりあえず必要最低限の生活費が保証されるので、現在の社会より「平等」になるのではないかと言われています。

もちろん、ベーシックインカム制度には多くの問題があり、その制度に対して批判の声が上がっています。まず、ベーシックインカムを導入するための財源はどこから来るのかという一番の問題があります。第二、ベーシックインカムを導入することで働く意欲がなくなるのではないかという疑問があります。第三、ベーシックインカムを享受できる人はどこまで含むのかという問題があります。移民も享受できるような仕組みを作ったら、移民が海外から殺到する可能性があり、その場合ベーシックインカム制度を支える財源が限界を迎えかねません。また、移民をこの制度から排除したら、非常に閉鎖的な社会になりかねません。

ベーシックインカムが導入されたら、実質、現在の資本経済主義から社会主義に転換することになります。しかし、北欧やオセアニアなどの国ではうまくいっている(うまくいってないという声もあるが)とはいえ、日本をはじめとするアジア諸国では成功する保証はありません。そもそも、国の歴史文化、国民のライフスタイルは昔ながら形成されたものであって、簡単に変わるとは考えられません。

例えば、平等という概念ももしかしたら西洋文化からの文化の押しつけではないかという声もあります。中国、インド、日本などをはじめとするアジア社会ではもともと社会階層が基本です。インドではカースト制度、中国や日本では士農工商の階級が社会を形成していました。「平等」という概念がなかったというか、階級社会が生活の基盤になっているので、自分が属している階級の仕事を果たせばよかったのです。どちらがいいという答えはなくても、世界情勢が変わりつつあることを認めながらも、それぞれの国の歴史、伝統、文化を考慮した上で、慎重に決める事が大切です。

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