ESD*日本ユースプラットフォームを通して日本各地で行政、学校、NPOなど、様々な職業でESD活動を行っている実践者にアンケートを取らせていただきました。ESDを実践する上で困難に感じていること、それを解決する為に必要なもの・こと、「活動は成功した!失敗した!」と感じたときなどの質問に回答していただきました。

*ESD: Education for Sustainable Development(持続可能な開発のための教育)

そこで、ESD実践者の皆様からいただいたESD活動実践の困難さをマインドマップにして分析してみました。

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ご覧の通り、ESD活動実践の困難さは以下の6つのカテゴリに分けることができます。

  1. 認知・認識
  2. 構造
  3. 継続性・コミットメント
  4. 結束力・団結力
  5. 成果のモニタリング
  6. 資金

認知・認識は言葉のとおり、ESDという概念に対する認知、理解を指します。認知・認識の問題点というのは例えば、「定義が広すぎる」、「単純な説明ができない」、「ESDがイメージしづらい」などが挙げられています。

構造は行政上、管理上の構造を指しています。例えば、認知・認識はされていても、企業、行政、学校でESD活動を行っている場合、どの部門に入るか、そこの構造がはっきりしていない、または存在していないので、実施することが難しいという回答をいただいています。更に、ESDの研究はあっても、ESDという学問がないので、それぞれの分野(社会学、理工学、環境科学など)に分類されることが多いのではないかと思います。

継続性・コミットメントは「参加するきっかけ」、「参加してから続けるモチベーションやコミットメント」のことを指しています。どの切り口でもいいから、ESDに一歩踏み入りやすいのかどうか、またはESDに一回踏み入ってから続けられるかという問題点です。これに関する困難さは例えば、「負担を感じる、または忙しくて時間がないから、できない・続けられない」、「一過性のイベントで終わってしまう」、「見学までは参加するが、実際に本格的にやるのに相当な覚悟が必要」、それから「ESDは年配の経験者が多くて若者は入りづらい、発言しづらい」などといった問題点が挙げられています。

結束力・団結力は、様々なステークホルダー(産学官民)、または地理的に散らばっている実践者が繋がっていないという問題点を指しています。ネットワークはそれぞれ存在しているが、地域ごとに分かれていて繋がっていないので、情報交換もできないし、お互いに必要なものを持っていても共有できないという状況です。

成果のモニタリングは、評価の物差し、または成果の監視を指しています。モニタリングが重要なのは、成果がわからないとどれくらい影響があるかわからないからです。ここで挙げられた問題点は「達成度合いがわからない」、「学校のESDは学業成績にどんな影響を与えているのかわからない」、それから「成功例、具体例がない」などです。成果のモニタリングができないと、効果があるかどうかわからないので政策提言もできないのです。

最後の資金は言葉の通り、資金調達に関する問題点です。

更に、実践者には以上の問題点を解決するのに必要なものを書いていただきました。

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それぞれの解決策を以上の6つのカテゴリを当てはめてみました。例えば、「具体例、教材集」ができれば、成果のモニタリングができ、違う地域で実践している方々を団結させることもでき、最終的には認知・認識を上げることもできます。

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最後の結論としては、先ほどの6つのカテゴリは上記のピラミッドに表すことができるのではないかと考えています。一番下の「認知・認識」は基礎となって、「認知・認識」ができてから構造を固め、それから、「継続性・コミットメント」、「結束力・団結力」、「モニタリング」、「資金」という順番でやればいいのではないでしょうか。もちろん、個人や団体のやり方で前後するかもしれません。

ただ、ここで強調したいのは、「認知・認識」、「構造」は下のあるものの、必ずしも一番重要だと限らないということです。アンケート調査で「ESD活動が成功した、または失敗したと感じた経験」を実践者に問いかけたところ、ほとんどの回答は「参加者は積極的に・継続的に参加してくれた」や「参加者は帰ってこなかった」、または「参加者にポジティブなコメントをいただいた」や「どれくらい成果があるかわからない」など、どちらかというと、ピラミッドの真ん中の「継続性・コミットメント」、「団結力・結束力」、「成果のモニタリング」が成功・失敗の決め手だったということです。

参加者に楽しいと思って、継続的に参加してもらえれば、ESD実践者が団結することができれば、成果のモニタリングができれば、必然的に「認知・認識」が高まり、その結果、行政上にもそういう構造ができるようになり、最終的にはESDの意味を理解してもらえれば、資金も投入されるはずです。

ESD活動は昨今全世界が一丸となって「持続可能な未来」を実現するために不可欠な活動だと思います。ESDの実践者の皆様にもう一度自分の活動の問題点を以上のフレームワークでに基づいて適度に改善していただければと思います。

少し話は変わりますが、、

小学校の授業でESDの種(ヒント)を探そうというワークショップにも参加しました。小学校の教科書(算数、国語、社会、図工など)で、その教科に限らず、例えば「国際理解」、「環境教育」、「防災教育」などもついでに教えられるヒントを探す活動でした。

例えば、教科書には必ずお花とか動物が出てくると思いますが、そこで「生物多様性」も簡単な概念で教えられるのではないでしょうか。また、子供達が楽しみにしている「夏休み」をそのまま遊び呆けるではなく、去年の夏休みと今年の夏休みは違うのではないか、例えば今年の夏休みは異常に暑かったとか、今年は暖冬だとか、という「気候変動」の教育もできます。

個人的に閃いたのは、図工の授業ではさみなどを使うと思うのですが、そこで「ものづくり」ということを小学生に教えたらどうかと思います。18、19世紀の産業革命で鉄道や工場ができて、大量生産・大量消費で私たちの生活が便利になったのですが、「手作り」という概念がそこからだんだん薄れてきたのではないでしょうか。次第に消費社会がどんどん発達して今の資本経済になったのでは?というのを小学生に教えたいぐらいです!(笑)もちろん、10年しか生きていない子供達に何百年前の話をしてもさっぱりわからないだろうが、ある教科を教科書通りに教えるというより、こういう小さなステップで現代社会の問題点について考えてもらえるきっかけにもなれたらなと思います。

最後に、日本は伝統的な「ものづくり」がとても評価されているのに、今や伝統産業(伝統工芸品)が衰退しているので、大量生産で作られた道具(はさみとか)ではなく、職人さんが伝統的な技術で作った陶器、漆器、木のはさみとかを教室で使ってほしいです!

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