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9月11日、シンガポールで4年ぶりに総選挙が行われた。今年2015年はシンガポールにとって大きな節目の年だ。1965年にマレーシア連邦から独立してから今年は独立50周年となり、そして建国の父と呼ばれるリークァンユー元首相は今年91歳で亡くなった。与党の人民行動党(PAP)は1959年から結成され、リークァンユー首相の引率でずっと圧勝してきた。ちなみに、現在の首相及びPAP書記長はリークァンユー氏の息子であるリーシェンロン氏。

今回の総選挙は以下の様々な理由で非常に注目されていた。

  1. 広がる格差社会

シンガポールは近年色々な意味で「金持ちの国」というイメージが強くなってきている。「世界一物価が高い都市」、「億万長者の密度が一番高い国」、「首相の収入が世界一高い(実際オバマ大統領の2倍)」などというニュースが最近流行っているため、シンガポールは金持ちの国だと思われても仕方ないかもしれない。しかし、実際はどうなのだろうか?シンガポールの経済成長は確かに著しい。一人当たりのGDPも確かに甚だ高い。しかし、それはシンガポール国民の収入が高くなったのではなく、シンガポールの移民緩和政策で、世界各地の超金持ちの人がシンガポールに移住してきたからだと言っても過言ではない。つまり、本来住んでいるシンガポール国民が金持ちになったのではなく、海外からもともと金持ちの人がシンガポールに移ってきたのだ。そのせいで、インフレが急速に進み、物価が高騰している。どんどん広がる格差社会に対して、一般市民の不満の声が上がっている。

2. CPF(年金)問題

シンガポールの年金は政府による強制積立制度で、労働者の給与額の2割が強制的に2.5%超の利子付与で積み立てられている。このCPF年金は「住宅購入、教育費および政府が認􏰆た投資などに使用可能の普通口座」、「加入者􏰅直系親族の入院費􏰅医療保険費、􏰄た住宅購入費用として使用可能のメディセーフ」、「定年後􏰄たは不慮の事故に備えて留保される特別口座」に分けられている。55歳になれば一部可能になるが、毎月少しずつしか引き出せないようになっている。しかし、引き出せる年齢が上げられる可能性があり、自分のお金なのに自由に引き出せないと不満の声が上がっている。すべてが政府に管理されているため、近年ではそのお金は政府の投資目的に使われているという噂もある。

3. 近年多発している問題

シンガポールの人口は30年ぐらいで倍ぐらいの550万人ぐらいになり、そして海外からの労働者が増えていて、現在ではシンガポールの総人口の4割が移住労働者だという。そんな中、特に地下鉄などのインフラ整備がこの爆発する人口を支えられなくなり、最近では故障問題が多発している。そして移住労働者による暴動事件や交通事故も多発している(完全に移住労働者のせいだとは言えないが、移住労働者の急増が顕在化しているのでどうしてもそれが原因だと見られがち)

前回の2011年総選挙には、与党PAPは史上最悪の支持率(60%)になった。今回は全29選挙区に野党が候補者を擁立し、史上初めて無投票当選者が一人も出なかった。建国50年の節目を迎え、PAPによる「一党支配」の是非が最大の争点となっていた。

そして、前回と同様、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアでは野党の勢力が強くなっているようにみられる。リークァンユー氏の死去で野党がより多くの議席を獲得し、シンガポール歴史の新しい一面を塗り替えるのではないかと、話題になっていた。

しかし、選挙が終わってみると、ソーシャルメディアで見た野党の強さの割に、与党PAPの支持率が下がったどころか、歴代2番目にいい支持率(69.9%)になっていた。選管の抽出集計によると、与党PAPが80議席を上回り、圧勝するという結果となった。

以下の理由が考えられる。

・建国の父であるリークァンユー元首相の今年の死去により、リークァンユー氏の功績が再度認識され、感謝の気持ちが高まっているため与党PAPへの支持が強まった。

・8月9日に独立50周年を迎えたので、愛国心が呼び起こされて、シンガポールが独立してからどれぐらい苦労してきたかを思い出されて、やはり今まで通りの政権を求めた。

・やはりシンガポール人は保守的で変化をいやがり、変に野党に投票して国をがらっと変えるより今までのシンガポールが望ましいと思った。

・確かに最近では色々な社会問題が多発しているけど、与党PAPの対応が謙虚で国民を納得させた。

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