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(This article is written in Japanese. For the English version, please click here.)

2013年に文化功労者に選ばれた岡野弘彦氏のお話を聞きに「コミュニティーラーニングツアー」で伊豆に行ってきた。友達のご招待で30名弱のメンバーと一緒に土曜日の朝に新宿からバスで伊豆へと向かった。今回のメンバーは2人を除いて全員日本人だけど、日本人の中にも海外経験のある人とそうでない人がいて、幅広い背景の人が集まった。

岡野弘彦氏は短歌をはじめ、日本の伝統的な文学において大きな貢献を遂げていて、様々な賞も受賞されている。今回のツアーは「日本の短歌・俳句から見た日本の今」、それから「伊豆の土地の香りと将来」という二つ大きなテーマを掲げている。

今年で来日して7年目になるが、周りの日本人の友達はグローバル思考の人ばかりだったせいか、日本人と日本について語るチャンスは今まで極めて少なかった。いわゆる「グローバル・パラドックス」が働き、世界中が国際化している中、色々な文化が混じって統一されてしまうより、却って自分のアイデンティティや文化に気付かされ、自己意識が高まる傾向のほうが強いのかもしれない。

岡野先生の話も非常に興味深かったし、何より日本人(と外国人)が集まって日本の現在と将来について熱く語るのを見て感動した。日本の経済や影響力がどんどん衰弱しつつある現在、こういうふうに日本の本来ある姿を学び、それから将来について真剣に考える日本人を見て、ほっとした。日本人じゃないのに、何偉そうに話しているって言われるかもしれないが、これもこれで、グローバル化ではないだろうか。「日本語」や「日本的思想」など、今まで「日本人のもの」だったが、今後は「外国人」のものにもなるのではないだろうか。

今回のツアーで一番印象に残ったことについて話そう。

「短歌という日本的思想が潜む文化的媒体と、時代に応じた今の変化」

正直、短歌・俳句・連歌など、今まではなんとなく聞いたことはあったけど、その違いがわからなかった。恐らくそういう日本人も多いのではないだろうか。俳句なんかを最後に書いたのは、皮肉なことに10年前で高校生のときだった。日本の文化を触れるために日本に来たはずなのに、日本に来て7年目にして初めて俳句を書いた。岡野先生の話によると、日本の古き良き精神、思想、言語(文語)などは敗戦後に急減したせいか、今の若者は「日本的思想」を知る由が無くなった。もちろん、短歌などには、日本の歴史、宗教なども関わっているけど、そこは知識不足のためあまり理解できなかった。

やっぱり言語ってある文化の媒体という非常に大きな役割を果たしている。言語が乏しくなるにつれ、その文化も代々伝わらなくなってしまう。これは、恐らく日本に限った話ではないと思う。自分の母国であるシンガポールの中国系の人の殆どは、恐らく中国の古典などが読めないし、その以前に中国語を流暢に話したり綺麗な文章を書いたりできる人が少なくなったと思う。

俳句には言葉と拍子の決まりはもちろん、必ず季語があり、そして上の句にはだいたい「地形」、下の句には「情緒」が入る。ほかにも色々な約束はあるかと思うが、そこは詳しくないのでご了承ください。

「季節」、「地形」といった自然的要素、それから「情緒」、「言葉」という人間的要素が綺麗に和えて成り立つことが非常に日本的だなと思った。

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そして、「連歌」という多数の人によって作られた詩も非常に興味深かった。一人が上の句を吟じ、それを聞いて下の句を即座に考える。西洋にも「詩」があるが、「多数の人が協力し合って作る作品」はなかなかないと思う。恐らく中国の文学にもないだろう。

日本の「里山文化」と非常に似ている気がした。これぞ、日本的思想の素ではないだろうか。東日本大震災後に話題になった「絆」や「助け合い」といった言葉ももともとここから来ただろう。

これこそ、経済的急成長で失われた古き良き日本的思想で、まさに現代日本に欠けている要素だと思った。

しかし、文化が時代に応じて変わっていくのは仕方ないことだ。 

文化は長い歴史で色々な変化を遂げてきた。なので、こういった要素が消えるのは、この時代にはもう必要でなくなったからかもしれない。

日本の学校では古典はまだ教わるらしいが、古典をただの授業科目として教えるのではなく、その本来ある思想を教え込むべきなのではないだろうか。

短歌や連歌などは、あくまでも日本的思想・精神を持ち運ぶ「媒体」で、短歌が消えても、その精神さえ存在すれば、何か違う形に受け継ぐことができるかもしれない。

せっかくなので、歌人の岡野先生に上の句を考えていただいて、我々が下の句を考えるという試みをしてみた。文語がわからなくても、連歌や俳句などは必ずしも消えるとは限らない。その精神さえ受け継ぐことができれば、媒体はどうであれ、文化は伝わっていくだろう。

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岡野先生が3分で考えた上の句は「海原にとどろきわたる、春の潮」。

私達に与えられた考える時間はわずか10分。あまり時間をかけちゃいけないらしい。

それから、ひとりひとり先生の前で発表した。詩というのは、吟じるものなので、自分で考えた下の句を上の句と合わせて吟じた。

そのあと、先生に最優秀の下の句を選んでいただいた。

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「海原にとどろきわたる、春の潮。心ひらけば、岩に浸み入る。」

日本的思想は実にとても深い物がある。しかし、日本は島国で、しかもほぼ単一民族だったので、その伝統や文化を言葉にして訴える必要はあまりなかった。そのせいか、言葉には説明できないところがある。

それを「感じる」しかないかもしれない。

アメリカやヨーロッパ諸国は、ずっと異文化に囲まれていたせいか、言葉にして国民に伝えなければいけなかった。グローバル化が進む中、言葉にされた欧米の文化は日本の「曖昧」な文化より、表面的なインパクトが強かった。そのせいで、日本の文化は薄れてしまったかもしれない。

「お前達は戦前の日本の良き伝統文化を受け継ぐ最後の世代なんだ」というのは岡野先生が若き日本人達へのメッセージだった。これは、もしかしたら日本に限ったことではないかもしれない。

文化は変わるものとはいいつつ、その本来ある姿を忘れては文化の本質が消えてしまう恐れがある。我々の世代はそれを守りつつ、今後のチャレンジと向き合わなければならない。

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