アウグスト・ボアールはブラジルの演出家で、「被抑圧者の演劇」でよく知られているそうだ。1950年代から1970年代にかけて色々な劇の活動に励んでいたそうだが、なかなかブラジル政府からの支持を得られず、ずっと弾圧されていたそうだ。ボアールが提唱した「被抑圧者の演劇」というのは、そういう抑圧されたり不公平な法律に接されたりした人を解放するための新たな方法である。植民地された土地の人々は不満や苦情を言葉で表すことは大変難しいことだったし、それより抑圧された人は自由や人権などという概念がなくて自分たちの運命を変えようともしなかったのだ。この劇を通して、自分の切羽詰まられた状況からどうやって逃げ出すのか、自ら考え、自ら演じてそしてその効果を自分で判断するのだ。言葉で言い合ったり交渉したりするより、実際自分のアイデアを演じたほうが、周りの反応も含めてもっと全体的な意見が求められるからだ。

「被抑圧者の演劇」の中、「インビジブル・シアーター」というのがある。それが何かというと、ごく一般の日常生活に何人かの役者による演技を通して、周りの人を入れ込みながら、一緒にある問題や状況を解決することだ。ボアールはよくパリの地下鉄で、何人かの役者で地下鉄に忍び込んで、たとえばセクハラを犯して、わざと問題を爆発させ、できるだけ周りの乗客に反応してもらうようにしていたそうだ。一般の人は演技だというのを知るはずもなく、ただ騙されるだけなのだ。どういう結果に繋がるかはともかく、いい議論が行われたならそれで目標達成ということだそうだ。そこで、役者たちは一気に地下鉄から降りて消えるのだ。なんて迷惑だね!

私は真剣にお芝居などをやったことないけど、この前このインビジブル・シアーターに参加することになった。とても光栄なことである。私たち何人かのアマチュアーの役者がある授業に忍び込んで、わざと問題を起こしたのだ。最初は自然に授業に馴染み、だんだん問題を起こしていったのだ。アマチュアーのわりに迫真の演技と自然な流れでほとんどの人を騙すことに成功したが、日本人の性格のせいか、あまりそのシーンに役者以外の人に入ってもらえなかった。(笑)

お芝居ってわりと楽しいものだなってつくづく感じさせられた。

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